名誉会長挨拶 平川 吉治
同窓生のみなさまには、日頃より母校の教育活動に多大なご協力を賜り有難うございます。この度、大久保前校長から中高学校長の任を引継ぎ、あわせて同窓会名誉会長に就任いたしました。どうかこれまでと同様、母校に対する変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。
本校は、1939(昭和14)年設立の東京電機工業学校を起源としています。その後1948(昭和23)年の学制改革を経て、1956(昭和31)年に東京電機大学高等学校と改称しました。一昨年に創立80周年を迎えた本校ですが、今日に至るまでのその歩みにおいては、工業科が廃止され、中学を併設し、男女共学となるなどの変化を遂げています
。この間、本校は多くの卒業生を輩出してまいりました。同窓生のみなさまおひとりおひとりの思い出の中にある母校の姿は、きっとそのときどきの時代によって異なっていることでしょう。
「テセウスの船」という有名な命題があります。
《ギリシャ神話の英雄テセウスが怪物ミノタウロスを倒した後、アテネの若者と共にクレタ島から船で帰還した。そのときの船は記念として長い年月アテネに保存されていたため、朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていった。そして、あるときとうとうすべての木材が新しいものに置き換えられたが、はたしてその船は、今でも「テセウスの船」と呼べるのだろうか?》
学校も、「テセウスの船」と同様に、生徒たちの入学と卒業を繰り返し、また教職員も入れ替わりながら、そして組織そのものの改変を繰り返しながら、今日に至っております。そして、これからも将来にわたって、その時代にふさわしいあり方を模索しながら、さらなる発展を求めてまいります。けれども、そこに受け継がれる建学の精神や教育理念は不変であり、そうした伝統を支える大きな柱の一つが同窓会だと考えております。
卒業生の皆さまの心の中にある、どの時代の学校の姿が欠けていても、今日の東京電機大学中学校・高等学校は存在しえません。どうかこれからも母校への関心をお持ちいただき、さらなる発展へのご支援ご協力をお願い申し上げます。